村野鉄男(中村蒼)のモデル・野村俊夫はどんな人なの?

このページは、NHKの朝の連続テレビ小説(朝ドラ)「エール」の村野鉄男(中村蒼)のモデルである野村俊夫(のむらとしお)さんがどんな人なのかを記事にしています。

朝ドラ「エール」では、古関裕而(こせきゆうじ)さんをモデルとしています。福島三羽烏と呼ばれる内、古関裕而さん、伊藤久男さん、そして今回の記事で取り上げる野村俊夫(のむらとしお)さん。

 

そんな、野村俊夫さんがどんな人物だったのか詳しくみていきましょう。今回の朝ドラ「エール」はモデルとして、様々な登場人物が物語に登場してきます。

その中で、今回は福島三羽烏の一人の野村俊夫さんについて、様々なエピソードをみていきたいと思います。エールと供にお楽しみください。

古関裕而と同郷

野村俊夫さんは福島出身です。しかも、古関裕而さんとは家も近くて一緒によく遊んでいた中でした。家は魚屋さんであり、その名も「魚忠」です。鈴木忠八さん、アキさん夫妻の三男として生まれています。

「魚忠」は店を開けていればお客が入るという、立地条件に恵まれたお店であり繁盛していました。そのまま家業が継続していれば、従業員として働いていたかもしれませんが人生何が起こるか分かりません。

 

鈴木忠八さんが商品相場に手を出して、見事に失敗します。「魚忠」は経営が傾き、一家で仲間町へ引っ越しました。父親が家を傾けた原因という部分は、古関裕而さんと共通する部分があります。

野村俊夫さんは小学校卒業後、病気とそういった家庭の事情も重なって商業学校へ進学していましたが中退しました。中退してからは、奉公に出ています。

 

福島の富豪、角田林兵衛さんの元で働きながら新聞雑誌に俳句、詩、童話を投稿していました。読まれていて疑問に思った人はいませんか?なぜ両親の名字が「鈴木」なのに、「野村」を名乗っているのか。

この野村俊夫さんという名前は、ペンネームとして使っていたものです。本名を名乗ってしまうと、両親に知られてしまうこと、河原乞食と思われないようにするための防衛策でした。

 

15歳で使ったペンネームをそのまま生涯使っているということで気に入ったのでしょう。本名は鈴木喜八と言います。結局勉強をしたいという願望が強く、隠れて勉強しているところを見つかってしまいました。家に帰って勉強するよう言われて、野村俊夫さんは家へ戻ることになります。

内務省のブラックリスト

家業を手伝いつつ、勉強も続けてその後福島民友新聞社で働くことになりました。文才が認められて、社会部の記者となるのにさして時間はかからなかったそうです。新聞記者をしていても、詩を作り続けていました。

野村俊夫さんが上京するきっかけを作ったのは、古関裕而さんです。新聞記者は世間的に当時いいイメージをもたれていませんでした。河原乞食の延長線上にある、やくざな商売が新聞記者と考えてもいいでしょう。

 

東京に出てきましたが、作詞家としてのポテンシャルは未知数であり、何より当時は昭和の金融恐慌期でありできる仕事はなんでもこなしていかなければ生活に困るという状況でした。

そうした中、「福島行進曲」などが古関裕而さんのデビューレコードとして発売されます。この作詞をしていたのが野村俊夫さんで、作詞家としてこの後ヒット作を出しました。

 

しかし、戦争気運が高まる中野村俊夫さんの詩は士気を削ぐとしてブラックリストに載ってしまいます。自身のリベラルな考えもあり、この考えはなかなか変わりません。

 

野村俊夫さんは結婚し、子どもが二人いました。生活していかなければならない状況で、レコードに関わる仕事ができないということは死活問題です。

いつまでも自身の主義を貫くことは、家族を路頭に迷わせることになります。暮らしのために主義を変える、野村俊夫さんが下した決断です。

 

これは誰もが経験することであり、生活がかかっていれば主義主張を貫き通すことが難しくなります。野村俊夫さんは内務省の心証を良くしていくために、「ほんとにほんとにご苦労ね」を作詞しました。その後も「上海夜曲」「暁に祈る」を作詞し、内務省の心証は改善していきます。

 

古関裕而さん、伊藤久男さん、野村俊夫さんの三人が1つの曲を作り出し、世に送り出すことが多かったことからいつしか福島三羽烏と呼ばれるようになっていました。

敗戦後は伊藤久男さんが一時期自責の念に駆られて、酒に溺れていましたが後に復活します。生涯で3000以上の作詞を行い、後にはジャスラックの役員や理事を務めました。

 

生涯を通じての最大のヒット作は「暁に祈る」ですが、没後の墓石にその曲を彫ることは平和な時代にふさわしくなかったので、戦後の最大ヒット作「湯の町エレジー」が刻まれています。激動の時代を生きた野村俊夫さん、福島三羽烏の一角を占めていた名作曲家です。

 

朝の連続テレビ小説「エール」で、野村俊夫さんは村野鉄男として登場します。演じるのは、中村蒼さんです。中村蒼さんは、「BOYSエステ」「花ざかりの君たちへ~イケメンパラダイス~2011」「八重の桜」などに出演しています。

 

数多くのドラマや映画に出演していますが、NHKの朝の連続テレビ小説は初出演です。どのような演技をするのか、注目して観ましょう。