亀井音吉(花田梅吉/柳葉敏郎のモデル)はどんな人だったの？

亀井音吉（かめいおときち）という人物をご存じでしょうか。笠置シヅ子さんの養父です。亀井音吉さんは妻・うめさんと一緒に笠置シヅ子さんを実の子のように育てた人物です。

笠置シズ子さんをかわいがったので、仲睦まじい家族になりました。今回は、この亀井音吉さんの人生をたどってみます。

亀井音吉は笠置シヅ子の養父

笠置シヅ子さんには2人の父親がいます。実父・三谷陳平さんと養父・亀井音吉さんです。今回は養父の亀井音吉さんの方を取り上げます。

シヅ子さんを養女に

亀井音吉さんの出身は、香川県大川郡引田町で、同じ町出身の中島うめさんと結婚。2人の間には長男・頼一君が誕生しました。当時2人は大阪で商売を営んでいました。

笠置シヅ子さんが生まれたときは、大阪市福島で米・薪炭・酒類の販売業を経営していました。1914年（大正3年）には次男が誕生。正雄君と名付けます。

妻・うめさんは出産のために香川に帰省したのですが、大阪に戻ってきた姿を見て夫がびっくり。なんと子供が2人いたのです。

「双子かいな。これは大変」といったそうですが、双子ではありません。うめさんが幼女の笠置シヅ子さん（当時はミツエちゃん）も連れ帰っていたのです。

幼女と聞いてまた音吉さんは驚いたでしょうが、快く引き受けるようにしたようです。音吉さんはそのように気立てのいい人でした。

また、当時は貧困などが原因で養子に子供を出すということも結構ありました。

養女となったミツエちゃんは名前を志津子（この記事ではよく知られたシヅ子という名前を使います）と変えて、亀井夫婦に大事に育てられていきます。

その後、夫婦の間に三男の八郎君が誕生します。つまり、音吉・うめ夫婦の間で、実子の男の子が3人、養女が1人ということになりました。

ところが、長男と次男は死亡、残ったのは三男の八郎君と養女のシヅ子さんだけになります。

風呂屋の営業を始める

亀井音吉さんは、元々酒屋を経営していましたが昭和になる頃に風呂屋に鞍替えしています。当時の大阪で風呂屋の需要が高まっていたからです。

人口が急増し、風呂屋が大人気となり、音吉が目をつけたというわけです。風呂屋は衛生管理や営業地域などに関して厳しいルールがあります。

人口の変化、営業地域の細かい指導などもあり、亀井家は4回も引っ越しをして、風呂屋の営業を続けました。

シヅ子さんを応援

亀井音吉さんの困ったところは賭け事や芸事にのめり込むことで、妻のうめさんも悩んでいました。ただ、元々憎めない愛嬌がある音吉さんですから、うめさんもなんとか支えたといいます。

芸事が好きなことにはいいこともありました。歌が好きな養女のシヅ子さんを応援したのです。シヅ子さんは風呂場の脱衣場で歌や踊りを披露。

なかなかの評判になり、その後地元の浪速劇団に誘われて、子役デビューを果たします。小学校を卒業すると、シヅ子さんは宝塚音楽学校を受験します。

不合格になったので、代わりに大阪松竹少女歌劇に入団しました。やがて人気も上昇し、松竹が東京に作ったSGD（松竹楽劇団）に移籍します。

この事実に音吉さんは大喜びし、盛大にシヅ子さんを東京へ送り出しました。1938年（昭和13年）、三男の八郎君が軍隊に入隊。

すでに他の男の子は他界しているので、音吉さんの周りに子供がいなくなったことになります。

1939年（昭和14年）には、音吉さんを全面的に支えてきたしっかり者の妻のうめさんが亡くなりました。息子も軍隊に取られ、妻も失った音吉さんはすっかり落胆し、働く意欲も失います。

そんな音吉さんのことを心配した笠置シヅ子さんが、東京三軒茶屋の借家に引き取ることにしました。やがて戦争が始まり、三男の八郎は戦死します。

1945年（昭和20年）には、東京大空襲で三軒茶屋の借家も焼失。音吉さんもシヅ子さんも命は助かりましたが、それぞれ分かれて暮らすことになります。

音吉さんは故郷の香川県引田に戻りました。音吉さんの唯一の子供になったシヅ子さんはヒットを続け、大スターに。音吉さんにとっても自慢の娘になります。

そんなシヅ子さんを散髪屋仲間の間で引田に呼ぼうという話が持ち上がりました。売れっ子スターのシヅ子さんは超多忙でしたが、町の人たちの熱意に心を動かされ、招待に参加します。

その結果は、大成功。年老いた音吉さんも大喜びであったでしょう。

花田梅吉のモデル

亀井音吉さんは、NHKの朝ドラ『ブギウギ』に登場する花田梅吉のモデルになっています。役柄は鈴子（趣里）の父親で、ツヤ（水上あさみ）の夫です。

鈴子は、笠置シヅ子さんがモデルになっていて、ツヤはうめさんをモデルにしています。つまり、『ブギウギ』では、亀井一家がそのまま再現されているのです。

設定に異なる部分はありますが、亀井音吉さんを始め、亀井一家のことを知りたければ、「ブギウギ」はわかりやすいです。

花田梅吉は今後、ツヤと六郎を亡くした後に香川に帰るシーンを描かれることになっています。モデルの亀井音吉さんの朝ドラ「ブギウギ」との違いを見ていくと楽しめるはずです。

元々、遊び人であった音吉が朝ドラでどのように描かれるのか注目したいと思います。

まとめ

今回は、笠置シヅ子さんの養父・亀井音吉さんについて紹介しました。亀井音吉さんは賭け事や芸事が好きな人でしたが、家族思いの人でもありました。

養女・笠置シヅ子さんも大事に育て、一人前のスターにまで成長させています。音吉さんには3人の男の子がいましたが、全員亡くなってしまいました。

それだけに笠置シヅ子さんへの思いは強く、成功したときには大喜びでした。晩年についての情報はありませんが、そのまま故郷で暮らされ、静かに息を引き取ったのでしょう。

様々な経過をたどった亀井音吉さんの人生をNHK朝ドラ「ブギウギ」の中でどのように描かれているのか見てみると、きっと楽しめることでしょう。

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